第1章: 涙を流す時代
ウパスニ・マハラジ
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カシナートは小銭の中から古く黒ずんだルピー硬貨を一枚選び、それをファキールに渡した。それを受け取ると、サイ・ババは硬貨を調べ、それから叫んだ。「この男が私にくれたこの硬貨を見よ。彼はわざと一番黒い硬貨を私のために選んだのだ!」
それが本当だったので、カシナートは恥ずかしくなり、嘆願した。「その硬貨を返してください。別のものを差し上げます。」
しかし導師は答えた。「私はこの硬貨だけが欲しい。この黒いルピーを私のもとに置いておきなさい。」後に彼は付け加えた。「お前はこの価値のない硬貨を私にくれたが、お前が真理を悟るよう、私が必ず取り計らおう!」
夕食の間、カシナートは深く心を乱され、新しいルピー硬貨を一枚選んでモスクへ戻った。彼はその硬貨をサイ・ババに手渡して言った。「黒いルピーをあなたに差し上げたのは、私の重大な過ちでした。新しいものを持ってまいりました。どうかお受け取りになり、私をお許しください。」
サイ・ババがその硬貨を受け取り、布の包みに結びつけていると、ハリバウ・チャウバルという男が来て、分厚いルピーの束をサイに手渡した。老いたファキールは怒っているように見え、チャウバルにもっと金を要求したが、彼は持っているものをすべて差し出していた。するとサイ・ババはチャウバルに、すぐ家へ戻り、所持している金をすべて持って帰ってくるよう命じた。その男はたいへん喜んで去った。自分の全財産をサイ・ババに明け渡す機会を与えられたからだった。これを見て、カシナートは自分の持っている金をすべて取りに行き、それをサイ・ババに手渡した。
毎日、彼のアルティが行われる前に、サイ・ババは講話をし、霊的な話題について語ったが、その内容が向けられた当人たちだけが理解できるものだった。カシナートは、サイが語ることの大半が、彼自身のことや彼の人生に起こった出来事に関するものだと分かった。次第にカシナートは、導師が全知であると確信するようになった。
このようにして二か月が過ぎた。カシナートは誰の重荷にもなりたくなかったし、金もなかったので、シルディを去り、サイ・ババが与えるものに頼って暮らすのをやめたいと思った。彼は、地元の小学校教師で親しい弟子であるマダヴ・ラオ・デシュパンデに、自分に代わってサイに話し、同意を得てくれるよう頼んだ。デシュパンデがそうすると、サイは答えた。「カシナートにこう伝えよ。すべての勘定が清算された時、去る同意が与えられるだろう。」サイ・ババは、カシナートのすべてのカルマのことを指していた。
