第31章: インドの大地に流れた血
1956年· ババ 62歳ページ 4,133 / 5,444
道路には行き交う車も歩く人もいなかった。事故から三分後、ベルガウムからプーナへと反対方向に走っていた一人の若者が、その事故の残骸を見て車を停めた。ヴィシュヌとその若者は、バーバーをその若者の車に乗せた。屋根のないトラックが一台停まり、ヴィシュヌはそのパールシー人の運転手に、エルチとペンドゥ、ニルをローズウッドまで運んでほしいと頼み、運転手はそれを引き受けた。それからヴィシュヌはバーバーに付き添い、車でグラフトンへ向かった。
バーバーがグラフトンに到着すると、マニはローズウッドにいるドンを呼びに自転車で大急ぎで駆けつけた。ドンが駆けつけて来て、ゴヘルとともにバーバーの傷の手当てを始めた。メヘラはバーバーの御顔から血を拭い取りながら、悲しみのあまり我を忘れていた。ほかの女性たちも、バーバーの苦しみを和らげようと最善を尽くした。しかし、アバターの苦しみがどうして和らげられようか?あの方の慰めはその苦しみのうちにあった。あの方はその苦しみを一秒一秒たえまなく耐え忍び、自らの神聖なる御業のために、自ら進んで引き受けておられた。
「時代」はこの悲劇を後世のために書き留めながら、悲嘆に暮れていた。「またしても!」と「時代」は嘆き叫んだ。「ああ、バーラト[インド]よ、お前もまたアバターの血を求めたというのか?アメリカはあの方の血を必要とし、あの方は1952年にかの地でそれを流された。そして今、その四年後にあの方はインドのためにもそれを流された!」愛と慈悲のゆえに御血を流された慈悲深き愛しいお方が、いまだ人類に見いだされていないことを、「時代」は世のために嘆き悔いた。
バウは、寝床にとどまって休むようにとのバーバーの命令にもかかわらず、マニとドンを追ってグラフトンへやって来ていた。
バーバーは彼を見るなり、まずこう言った。「なぜ私の命令を破ったのですか?」
それでもこの危急の状況の中で、バウは民間外科医のアバディン博士を呼びに走った。
民間外科医が到着すると、バーバーは彼に尋ねた。「今日は日曜で、あなたのお休みの日ですのに、どうしていらっしゃってくださったのですか?」
「これは私の務めですから」と外科医は答えた。
