第29章: 短いダルシャンと隠遁
1956年· ババ 62歳ページ 3,963 / 5,444
両手を合わせて敬意を表しながら、キルパル・シンが答えた。「バーバー、それはあなた様のお手にお委ねいたします。」
バーバーは言った。「そのときあなたがインドにいらしたら、エルチを遣わしてあなたを連れてこさせ、その夜を私と共に過ごしていただきましょう。」
キルパル・シンは同意し、その紙片をポケットに入れた。1もう一度彼を抱きしめると、バーバーは彼の手を取って外へと連れ出した。バーバーに別れを告げる前に、キルパル・シンは、その朝エルチが彼らと会ったダーク・バンガロー[旅人用の宿]に立ち寄らず、そのままプネーへ向かわせてほしいと頼んだ。これはバーバーを喜ばせ、彼の普段の慣習にも合っていたため、許可が下りた。
キルパル・シンと三人の従者たちが車に近づいていったとき、突然そのうちの一人が、バーバーにマンゴーのかごを渡すのを忘れていたことに気づいた。笑いながらキルパル・シンは述べた。「私たちは別世界にいるので、すっかり何もかも忘れてしまいました!」バーバーはその果物を愛をもって受け取り、キルパル・シンはもう一度抱擁を受けた。一行が席に着こうとしたとき、バーバーへの菓子の箱もまた忘れていたことに気づいた。全員が嬉しそうに笑い、これでまたバーバーに会う機会ができたと言った。
ついに車が出発しようとしたとき、エルチは、キルパル・シンがバーバーから贈られた『すすり泣きと鼓動』と『旅人たち』を忘れていたことに気づいた。彼はぎりぎりのところで車を路肩に止めさせ、その二冊の本をキルパル・シンに手渡した。
同じ日、もう少し後に来たもう一人の訪問者は、イギリス・マンチェスター出身の二十四歳の青年、キース・N・セッカーであった。かなり長い間、キースは、自分が読んできた哲学書のどこにも見いだせなかったあるものを探し続けていた。そんなとき、ある友人が彼に『談話』を読むよう勧め、その本は彼の心を深く揺さぶった。彼によれば、その中で「答えを見つけた」のだという。『神から人へ、人から神へ』を読んだ後、彼はメヘル・バーバーにあまりにも会いたくなり、仕事を辞め、ごくわずかな金しか持たずにインドへやって来た。彼はイングランドにいるバーバーの愛する者たちを誰一人として知らなかったが、自力でプネーへ、そしてさらにメヘラバードへとたどり着いた。そこで彼はパドリに会い、パドリは彼をアフマドナガルのアディ・シニアの所へ案内し、アディ・シニアはバーバーがサタラで隠遁中であると告げた。
脚注
- 1.結局、キルパル・シンはバーバーの傍らで一夜を過ごすために戻ってくることはなく、これが二人が会った最後の機会となった。
