第11章: ポルトフィーノ
1933年· ババ 39歳ページ 1,549 / 5,444
一方、バーバーはこの出来事を可笑しく思い、歯痛が収まるまで耐え忍んだ。
マンダリは他の乗客と交わらず、食事の時間に食堂で姿を見せる以外は見当たらなかったため、乗客の間では彼らの本当の素性について様々な憶測が飛び交った。彼らはブリーフケースを携え、いつも書類や文通に忙しく、昼夜を問わず電報を送っていたため、世界を巡る成功した実業家だと誤って受け取る者もいた。彼らがアクバル・ハイデリと頻繁に話しているのを見て、ロンドンで開催中の円卓会議に関わる高位の政府官僚に違いないと推測する者もいた。
バーバーは朝と午後の一時間ずつの散歩を除いては、訪問客を迎えることもほとんどなく、客室を離れることもめったになかった。バーバーは離れて過ごすことを望み、今回の航海の宿泊は大変快適だと感じていた。
船は10月2日朝、ポートサイドに入港し、インドール藩王妃イェシュワントラオ・ホルカル夫人が秘書を伴ってバーバーのダルシャンを受けに客室にやって来た。そのとき、バーバーは甲板で朝の散歩に出ており、誰かが彼女をそちらへ案内した。彼女が近づくと、チャンジが彼女を遮ってこう言った。「メヘル・バーバーは予約の上でなければダルシャンをお授けになりません。私がお許しを伺ってからお知らせいたします。」秘書は、藩王妃はメヘル・バーバーに何か頼みに来たのではなく、ただダルシャンを賜りたいだけだと説明した。チャンジは、バーバーに伺ってからお知らせするとあらためて言った。しかし彼らはチャンジについて行き、チャンジがバーバーの許可を仰ぐ前にバーバーと顔を合わせてしまった。
バーバーはヨーロッパ風の服装をしており、彼独自の理由から、いかなるインド人にもその姿を見られたくなかった。
バーバーは彼らにこう説明した。「私は甲板に出ている間は誰にも会いたくないので、見分けられないように普通の人の身なりをしているのです。誰も私のありのままの姿を知りません。私の真の自己を知りたいと願う人々のためには、こんな見せかけをする必要はありません。しかし、真に私を知ろうと切望しない人々が恐ろしく、彼らからは正体を隠さねばならないのです。ですから、私は身分を隠して動かねばならないのです。」
藩王妃のためにバーバーとの面会が予定された。
アクバル・ハイデリと彼の妻は9月29日の正午、バーバーに会いに来ていた。「私たち二人ともみじめなのです」とレディ・ハイデリは打ち明けた。「息子のアリは酒飲みで浪費家でございます。私たちはあの子のことをひどく心配しているのです。」バーバーは彼らを慰め、心配する理由はなく、二ヶ月もすれば息子は大丈夫になるだろうと請け合った。レディ・ハイデリは息子をバーバーのもとへ連れて来てもよいかと尋ね、バーバーはまたの機会にと示した。
