第10章: 歌い始めた西洋
1932年· ババ 38歳ページ 1,414 / 5,444
夕方、バーバーはミッドタウン・マンハッタンのブロードウェイを散歩した。翌日、エリザベスはバーバーを乗せてセントラル・パークを通って車を走らせた。エリザベスがバーバーを車に乗せて運転するのは、これが初めてだった。他の人々は、画家のジュリアン・ラマールが運転する別の車で出かけた。ジュリアンは、前夜に誰かが車に侵入して彼の荷物を盗んだため、ひどく不機嫌だった。
彼はこの出来事を何度もバーバーに話し、バーバーはこう尋ねた。「それがあなたがこの世に持っていたすべてではなかったでしょう?」ジュリアンはそうではないと認め、バーバーは言った。「私はあなたの中にも、盗人の中にもいるのです!」
セントラル・パークを車で通っている間、バーバーは110丁目の湖の近くで止まるようエリザベスに合図した。全員が車を降り、バーバーを先頭に湖へ向かって歩いた。乳母車を押している保育人のほかに、あたりには誰もいなかった。その女性を一目見ただけで、バーバーは車へ戻った。一年後、ジョセフィン・グラボウが入院していたとき、若い女性が彼女のベッド脇の写真は誰のものかと尋ねるまで、その日のバーバーの散歩の意味は誰にも分からなかった。ジョーは、それがメヘル・バーバーであると教えた。すると女性は言った。「キリストのようなあのお方、一年前に公園の湖のほとりを歩いていらしたあのお方と同じ人物だと分かります。あの顔を一度も忘れたことはありません」
バーバーはその夜ブロードウェイで映画を見たいと望み、ノリーナがそれを手配し、十八人の一行がバーバーと共に出かけた。バーバーは映画の途中で落ち着かなくなり、中座した。一行も後に続いた。混雑したニューヨークの街路を歩き、バーバーは数ブロック離れた別の映画館へ向かった。道中、ある男が立ち止まってバーバーの目をまっすぐに見つめ、歩道で行き違った後も振り返り続けてバーバーを見つめていた。おそらくバーバーが劇場を出たのは、その男のためであったのだろう。
アディ・ジュニアは一日中アルファベット盤を読み取っており、長時間立ち続けて疲れていた。劇場に着いて座り心地のよい席に腰を落ち着けたとたん、アディ・ジュニアは眠ってしまい、映画を全く見られなかった。
ストークス家に戻ると、バーバーはノリーナの前で、マンダリ一人ひとりにこう尋ね始めた。「映画は素晴らしくなかったですか?」
ガニは「素晴らしかったです」と答え、チャンジも同意して「美しかったです!」と言った。カカは「なかなか良かったです」と言った。アディ・ジュニアの番になると、彼は言った。「えーと、申し訳ありません、バーバー。眠ってしまって観られませんでした」
