第29章: 短いダルシャンと隠遁
1956年· ババ 62歳ページ 3,960 / 5,444
1956年5月18日金曜日、キルパル・シンは女性一人と男性の信奉者二人を伴ってサタラに来て、午前9時半頃ジャッジズ・バンガローでバーバーに会った。バーバーはベランダに立っており、その聖者を慈しみ深く抱きしめた。バーバーは彼の手を取って自室へ連れて行き、バーバーの手振りを通訳していたエルチを除く他の者には外で待つよう合図した。バーバーはいつもの席に腰を下ろし、キルパル・シンに座るよう促した。両手を合わせて、キルパル・シンは言った。「あなたにお会いできてこの上なく幸せで、光栄に存じます。」
バーバーは答えた。「私は宇宙の主です。私はあらゆる者の内にあり、あらゆるものです。私はすべてを知っていながら、同時に何も知らないのです……」
「それこそ真の偉大さの証であります」とキルパル・シンが言葉を遮った。
「偉大なのはあなた方の方です。私は、私を愛する者たちのしもべに過ぎません。私は彼らの足を洗う機会を得るとき、心から幸せを感じます。私の喜びは、彼らを抱きしめることなのです。私は愛の大海です。」
バーバーが立ち上がってキルパル・シンを軽く叩くと、彼もすぐに立ち上がった。バーバーは彼に座るよう促したが、彼はバーバー自身が再び座って会話を続けるまで、敬意を込めて立ったままであった。
「あなたが行っている働きを、私は大変喜んでおります」とバーバーは話を切り出した。「あなたや他の者たちを通して、私自身の働きを行うのは、ほかでもない私自身なのです。」
キルパル・シンは言った。「バーバー、私はインドや他の国々でもあなたの信奉者たちに会いました。しかし私が「あなたはどのような体験をなさいましたか?」と尋ねますと、彼らはどんな体験もしていないと答えました。バーバー、どうか彼らに何らかの体験を授けてくださいませんか?それが彼らの助けとなりましょう。何の体験もなくしては、人々が霊性に関心を持つよう望めるはずもないでしょう?」
バーバーは答えた。「内的体験を持つことは良いことですが、それに重きを置くのは大変危険です。求道者があらかじめ警告されていなければ、些細な体験すらも危ういものとなり、着実な歩みを阻みます。」
前日、バーバーは次のように述べていた。「すべてを知る者は、何ものをも動かしません。一人ひとりにとって、私はその人が私をそうだと思うものとして現れるのです。」
バーバーはラノにこれらの言葉を大きな字で書くよう指示し、バウにそれをバーバーの椅子の近くに掛けるよう告げた。バーバーはそれを指し示し、キルパル・シンに霊的な道の真の意義を説いた。
「あの板をお読みください。そこには何と書いてありますか?『すべてを知る者は、何ものをも動かさない。』それは、すべてを知る者は見せ物として奇跡を行わない、ということを意味します。」
